2017年9月28日
明日の住まい
自然と向き合う新しい住まいのかたちへ
住宅の広告でよく目にする言葉に、高気密とか高断熱とかいうのがある。住宅環境を人工的に制御してしまうわけではあるまいが、よく考えてみると少々首をかしげてしまう事が多いように思えてならない。なぜ人間が住むのに魔法瓶のような所へ入って生活しなければとならないのだろうかと・・・・・・・
本来、住宅は家族の精神的、肉体的な「安らぎの場」でなくてはならないはず。
自然の風や自然の光、そして自然の素材によって造られた住まいこそが、家族が笑顔で集う家だったはずなのだ。だが、文明の足跡がそうであったように、近年の住宅のあり方も「自然に背をむけた、型にはまった息苦しい環境」に慣れ切ってしまい進んできたような気がします。
私たち特に無垢の木を使用した住宅を造っていますが、私は最近木材の泣き声が聞こえるような気がします。
木材は自然が造り出した素材である。天然素材であるがゆえに、そうそう簡単に人の成り立ちを知り、その性質よく理解することであつた。しかし現代社会において私たちの木材に対する接し方はどうであろう。例えばスピードを重視するあまり、急激な乾燥で木の特性を封じ込めたり、強度や機密性を高めるため接着剤で固め、息苦しい居住空間を作り上げたり・・・・等々木材とことん苦しめてはいないだろうか。
さて、これ等の原因はどこにあるのかを考えてみたい。答えは住まいを造る側の問題ばかりとは言えない。例えば住宅がクレーム産業と言われるように、精密、精度を求めすぎた住む人たちのどん欲な要求の結果が木材を苦しめているのではないだろうか。自然を愛し、自然の中に住まう人が自然に対し共に生きようという思いを示せば、自然は暖かく包んでくれるはずである。
東陽住建株式会社
会長 中井 修