2012年11月18日
『 木は、切ってもいいのか?① 』
日本の森を守るプロジェクト。
「あんたは、木をいっぱい
つかっとるけど木使って、それこそ、
環境破壊じゃないかい?」
この質問、木の家のお手伝いを
させていただきはじめた10年前、
頂いた質問です。
私は、家づくりを仕事と
していますが、たぶん、今までに
数万本は、使ってきた
と思います。
そんな私が、出した結論は、
木は、切って使わないといけない。
なのですが、実は、答は、
簡単ではないです。さまざまな観点から、
考える事が必要です。
本当に木を切ってもいいのか?
具体的に検証していきたいと思います。
『木は、切ってもいいのか?①』
・森を育てる編
日本の森林は、国土の7割といわれています。
その中で、原生林は、ごくわずか。
ほとんどは、人の手が入って育てられている
のです。
人は、木を切って、便利に利用するように
なり、木を育てることを始めました。
具体的なステップとしては、
母樹林と呼ばれる森から、種をとる
↓
その種を約3年ほど育てる
↓
山に植えてもいい大きさになったら植える
↓
人の手間をかけ、草刈りなどを行う
↓
木の節ができないよう枝うちを行う
間伐と呼ばれる木を切る行為も行う
↓
50年~130年後、利用するために木を切る
この循環を繰り返します。
森林を育てるには、下刈、除伐、間伐など
の手入れが必要です。
また、主伐によって伐採された(=収穫した)
あとには、再び植林しなければなりません。
「植える→育てる(手入れ)→収穫する」
という森林のサイクルを循環させることで、
健全な森林が育成され、私たちに
住みやすい環境と資源を持続的に
与えてくれます。
ここで疑問になるのは、
森を守るためなら、
間伐さえ行えばいいのではないか?
という疑問です。
この疑問の肝となるのは、やはりお金です。
上記のサイクルを見ると、
森を育てていくにもお金がかかります。
林業をされている方の力が必要です。
今、日本の林業は、国の補助金なしでは
成り立たっていません。
手入れが行き届いた健全な
森林づくりには、間伐材を含めた木材や
木製品を積極的に利用する消費活動が
必要なのです。
木を使うことにより、資金が山に
還元され、林業の生産活動が活発化し、
二酸化炭素の吸収機能をはじめ、森林が
持っているさまざまな機能が十分に
発揮されるようになるのです。
そして、木を使うことは、
地球環境にとっても大切な
ことなのです。続きは、②で、お話し
します。
写真は、東白川村の
母樹林と呼ばれる木の種をとる森。
木を使うならば、木を使ってもいい理由を
知っておいてほしい。
いつも、心からそう思うのです。